ネオニコチノイド系農薬
ネオニコチノイド系農薬とは、クロロニコチニル系の殺虫剤のことを指す。これは昆虫の神経細胞のシナプス部分の後膜に存在する神経伝達物質のアセチルコリン受容体である「ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)」に結合し、神経細胞を興奮させ続けることで死に至らしめる効果をもっている。致死濃度以下でも、食害や交尾、産卵や飛行など、虫のあらゆる行動が減少する。ネオニコチノイド系農薬は他の農薬と比較して水溶性が高いため、植物全体に容易に吸収される。吸収されると、植物自体(蜜、花粉、葉、茎、果実)にネオニコチノイド系農薬が含まれる。植物に吸収されないネオニコチノイド系農薬は、土壌と水に残る。
ネオニコチノイド系農薬は稲、果菜類、キャベツなどの葉菜類を含む様々な野菜、茶葉、かんきつ含む果樹まで非常に幅広い農産物の適用作物がある。
ネオニコチノイド系農薬は胎盤を介して急速に移動し、胎児に蓄積する可能性がある。
ネオニコチノイド系農薬はニコチンと構造が似ており、ネオニコチノイド系農薬が発達中の脳にニコチンのような悪影響を及ぼす。ネオニコチノイド系農薬に周産期に曝露された子どもはほぼすべて小さくなり、脳全体の重量が減少。発達中の脳の体積の減少は、発達神経毒物への曝露による神経細胞の喪失を意味する。
ネオニコチノイド系農薬は鳥の生殖能力に悪影響を及ぼし、カルシウム代謝を変化させ、卵の殻が薄くなる。薄い卵の殻はバラバラになり、孵化中の鳥の体重を支えることができなかった。これにより、1980年代までにさまざまな鳥類の個体数が大幅に減少。
多くの研究は、ネオニコチノイド系農薬は遺伝毒性、神経毒性、肝毒性、腎毒性、および免疫毒性を引き起こすことが示されている。
ネオニコチノイド系農薬には、ミツバチにコロニー崩壊障害(ミツバチが大量に死んだり姿を消したりする現象)を引き起こすことが報告されている。
実験動物にネオニコチノイド系農薬を投与すると、腸粘膜、血液脳関門、胎盤を通過し、中枢神経系、自律神経節、神経筋接合部に関連すると思われる幅広い症状が現れた。
ネオニコチノイド系農薬の投与は酸化ストレスを増加させ、生殖組織で細胞死を引き起こすことが認められている。
欧州食品安全機関は13年に、ネオニコチノイド系農薬であるイミダクロプリド(アドマイヤーなど)とアセタミプリド(モスピランなど)について、低濃度でも人の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす恐れがあると発表。
EUでは2013年に、登録ネオニコチノイド主要5種類の内3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)を一部使用禁止とした。さらに2018年4月に、屋外使用全面禁止を決定している。フィプロニルに至っては、17年9月にEUでの登録が失効し、農業場面での使用は禁止になっている。
フランスは主要5種全てを禁止しており、ドイツは7種を使用禁止にしている。
カナダやアメリカ、ブラジルでも一部地域でネオニコチノイド系農薬の使用が禁止され、台湾や韓国でも3種の使用が制限されている。
一方日本では、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、ニテンピラム、アセタミプリド及びチアクロプリドの7種は全て使用可能で、2015年以降、ネオニコチノイド成分の食品中の残留基準を緩和している。また改正農薬取締法に基づく今後の取組として既に登録されている全ての農薬について、定期的(15年毎)に最新の科学的知⾒に基づき、安全性等の再評価を⾏う仕組みを導⼊と農林水産省が発表。2021年度から開始し、国内での使⽤量が多い農薬から順次実施(初年度:グリホサート、ネオニコチノイド系農薬など14有効成分が対象)するとのこと。
参考文献
論文「Neurotoxic Effects of Neonicotinoids on Mammals: What Is There beyond the Activation of Nicotinic Acetylcholine Receptors?—A Systematic Review」https://www.mdpi.com/1422-0067/22/16/8413
論文「Neonicotinoid pesticides: evidence of developmental neurotoxicity from regulatory rodent studies」https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11480014/
論文「The impact of neonicotinoid pesticides on reproductive health」https://academic.oup.com/toxsci/article/203/2/131/7845271
論文「Effect of Neonicotinoid Pesticides on Japanese Water Systems: Review with Focus on Reproductive Toxicity」https://www.mdpi.com/1422-0067/23/19/11567
農家web HP「ネオニコチノイド系農薬とは、どんな農薬?ネオニコチノイド系農薬一覧と特徴について、徹底解説!」https://www.noukaweb.com/neonicotinoid/
農林水産省 HP「農薬取締法に基づく規制の現状と今後について」https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/attach/pdf/index-10.pdf








